カルシウムは、私たちにとって身近な成分のひとつです。実際、カルシウムはミネラルの中で最も多く人の体に存在している成分でもあります。

骨と歯を作るだけでなく、神経を安定させる作用などもあるため、心身の健康のために普段の食生活でカルシウムをしっかりととれるよう意識したいものです。
今回は、カルシウムの吸収率についてみてみましょう。

牛乳が1位の理由は?

カルシウムをとれるものといえば、一番に思い浮かぶのが牛乳ではないでしょうか? イメージ通り、カルシウムは牛乳などの乳製品に多く含まれます。また小魚、緑黄色野菜などにも多く含まれます。

では吸収面ではどうでしょう。
ある調査では、カルシウム吸収率は牛乳40%, 小魚33%, 野菜19%という結果になっています。つまり、牛乳はカルシウムが豊富なだけではなく、吸収の面からみても優れた供給源といえるでしょう。

この理由としては、牛乳の乳糖およびCPPがカルシウムの吸収を促進しているものと考えられています。 CPPとは、カゼインホスホペプチドの略で、カルシウムを溶けやすい状態に保ち、小腸からのカルシウムの吸収を助ける働きがあります。
一方、野菜はほかのふたつの食材に対しては低い割合ですが、これは野菜に含まれる食物繊維やシュウ酸が吸収を阻害していると考えられています。

カルシウムの働き

カルシウムは骨を作る働きが有名です。カルシウムは99%が骨と歯に存在し、残りの1%が血液中や筋肉などに存在します。

とくに成長期の子どもは成人に比べ、骨の成長が活発な時期です。骨量が増加する成長期に骨を丈夫にしておくことが、将来の骨粗しょう症を防ぐことにもつながります。もちろん、健康な骨や歯をつくるためにはカルシウムだけでなくバランスの良い食事と運動も大切ですが、とくカルシウムは意識してとりたい成分です。

また血液中や筋肉に1%存在するカルシウムの働きとしては、筋肉の収縮に関係したり、神経の機能を正常に保ったりする働きや血液を止める成分の合成に必要になります。

カルシウムの吸収を悪くするものは?

日常的にスナック菓子や清涼飲料水をとっている方は、少し気をつけましょう。 これらには、リンという成分が多く含まれます。

カルシウムとリンの摂取比率は、ほぼ同量が望ましいとされていますが、現代人の食生活は、リンの割合が多い傾向にあります。 リンの摂り過ぎはカルシウムの吸収を妨げます。

リンは加工食品やスナック菓子、清涼飲料水やファーストフードなどの食品添加物として多く使用されているので、これらを食べすぎたと感じたら、カルシウムも多めにとるよう心がけましょう

まとめ

私たちにとって身近な成分のひとつであるカルシウム。カルシウムは牛乳に多く含まれますが、吸収率の面からみても優秀です。 小魚や野菜と比べても、吸収率が高いのが特長です。

ご存知の通り、カルシウムは骨の健康に必要不可欠なので、意識して食生活に取り入れたい成分です。 ただ、加工食品やスナック菓子、清涼飲料水やファーストフードなどをよく食べる方は注意が必要。これらに使われているリンという成分がカルシウムの吸収を妨げるので、食生活が偏りがちな方は、より意識してカルシウムをとれるよう心がけましょう。


管理栄養士
長 有里子

sazukaru代表。管理栄養士。 39歳で体外受精を経験し、40歳で第一子を出産。自身の経験から、不妊治療をされている方に向けた「授かるごはん」講座を主宰する。 人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴をもち、現在は雑誌やサイトの栄養監修なども手掛ける。

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