エキストラバージンオリーブ油とピュアオリーブ油、違いはいくつかありますが、最近注目されているのが、エキストラバージンオリーブ油に含まれる「オレオカンタール」という成分です。
この成分、どんな働きがあるのでしょうか？
エキストラバージンオリーブ油とピュアオリーブ油の違い
“オイルの王様”とも呼ばれ、健康的な油として名高いオリーブ油。
それは、オリーブ油にオレイン酸という血中コレステロールを減らす作用のある成分が多く含まれているからです。
オリーブ油の使用量が多い地中海食を食べている国は心疾患による死亡率が低いという報告から、今や日本でも料理に欠かせない油になっています。
オリーブ油は大きくエキストラバージンオリーブ油とピュアオリーブ油の2種類に分けられますが、このふたつの大きな違いは、製法です。
・エキストラバージンオリーブ油…オリーブの実を絞って、ろ過しただけの、いわば一番搾りのオイルのこと
・ピュアオリーブ油…精製したオリーブ油で、味と香りが控えめ
つまり味覚としては、エキストラバージンのほうは風味が豊か、ピュアのほうは風味が控えめになります。
オリーブ油と頭痛薬の関係
エキストラバージンオリーブ油は風味が豊かなので、生でかけたりドレッシングの油にしたりすることが多いですが、口に入れたとき、喉の奥にピリッとした辛みを感じることはありませんか？
これは、オレオカンタールという成分がもたらすものになります。
炎症を鎮める代表的な薬に“イブプロフェン”があります。頭痛や生理痛のときに飲む薬に入っていることがある成分なので、ご存知な方も多いはず。
オレオカンタールは、このイブプロフェンと非常に似た抗炎症作用を持つことが近年発見されました。
これにより、地中海食を食べている国の心疾患による死亡率の低さは、オリーブ油に含まれるオレイン酸だけではなく、このオレオカンタールも影響しているのではないかとの見方も出てきました。
また、認知症予防にもなる可能性があるという研究報告もされています。
このオレオカンタールはエキストラバージンオリーブ油に含まれるものなので、残念ながらピュアオリーブ油では期待できません。
エキストラバージンは生食用で、ピュアは加熱用って本当？
ピュアオリーブ油にはオレオカンタールは含まれませんが、どちらのオリーブ油にもオレイン酸は含まれますので、オリーブ油は健康油として使っていきたいですよね。
ただ、一般的に“エキストラバージンオリーブ油は生食用、ピュアオリーブ油は加熱用“というイメージがありませんか？
でも実際は、どちらも生食・加熱ともに使えるんですよ。
もちろん、エキストラバージンオリーブ油は生で仕上げに使ったり、ドレッシングにすると風味が豊かになりますが、クセがなくさっぱりと仕上げたいときはピュアオリーブ油のほうが良い場合もあるでしょう。
また、炒め物や揚げ物などの加熱調理にはさっぱりと仕上がるピュアオリーブ油を使用される方が多いと思いますが、料理にアクセントをつけたい場合はエキストラバージンオリーブ油にしたほうが引き立つことも。
お料理のイメージによって使い分けるとよいでしょう。
まとめ
オリーブ油は血中コレステロールを減らす作用のあるオレイン酸で有名ですが、さらなる健康作用がわかってきました。
オリーブ油には、ピリッと感じる辛み成分であるオレオカンタールが含まれます。
このオレオカンタールには、頭痛や生理痛のときに飲む薬に入っている“イブプロフェン”とよく似た抗炎症作用があることが発見されました。近年では認知症予防に役立つ可能性も示唆されています。
これはエキストラバージンオリーブ油特有の成分ですが、このような健康効果がわかると、今後ますますオリーブ油を使う頻度が多くなりそうですね。
長 有里子
sazukaru代表。管理栄養士。 39歳で体外受精を経験し、40歳で第一子を出産。自身の経験から、不妊治療をされている方に向けた「授かるごはん」講座を主宰する。 人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴をもち、現在は雑誌やサイトの栄養監修なども手掛ける。
