今年の土用の丑の日は、7月28日。土用の丑の日といえばウナギを食べる風習が有名ですが、何気なく使っている「土用の丑の日」の由来や意味をご存知ですか? 

またウナギは梅干しとの食べ合わが悪いといわれますが、実際のところはどうなのでしょうか。ウナギの栄養と合わせて見てみましょう。

なぜ土用の丑の日にウナギを食べるの?

”土用の丑の日”というと、夏を思い浮かべませんか? でも実際には、「土用」は春夏秋冬ごとにそれぞれ存在します。

立春、立夏、立秋、立冬より前の約18日間を土用といいます。

そして「丑」というのは、十二支の干支の中の丑のことで、方角や日にちを数えるのにも使われており、「丑の日」は12日周期でやってきます。

つまり、「土用の丑の日」は「土用」の期間うち「丑の日」に当たる日ということです。

ではなぜ、夏の土用の丑の日にウナギを食べるようになったのでしょうか?

諸説ありますが、ひとつに江戸時代の蘭学者である平賀源内がつくった「うなぎ屋の広告」がきっかけという説があります。

昔から夏土用の期間は夏バテしやすいということで、丑の日に「う」のつく食べ物を食べる風習がありました。ウナギは脂っこいため夏には嫌厭されていたのですが、あるウナギ屋に夏にもウナギを売りたいと相談された平賀源内は「本日、

丑の日」と書いた紙を店先に出すことを提案。丑の日に「う」のつくものを食べると夏バテしないという風習を利用したのです。

これによりお店は繁盛、その後他のウナギ屋も真似をするようになったことで、ウナギを食べる習慣が定着したということです。

ウナギは太る?

ウナギというと栄養満点というイメージがあるかと思います。一方、“脂が多いのが気になる”という方もいらっしゃるかもしれません。

ウナギのカロリーのうち、6割は脂です。ただ、その脂の大部分は健康に良い影響を与える脂になります。

たとえば、オリーブ油に含まれるオレイン酸は体に良いイメージがありませんか? ウナギにはこのオレイン酸などを含む一価不飽和脂肪が豊富。一価不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを減らす作用があります。また、DHAやEPAといった善玉コレステロールを増やす脂も豊富に含まれています。

もちろん脂なので多量に食べれば太りやすくはなりますが、一串程度なら問題な量ではありません

「ウナギと梅干」の食べ合わせをジャッジ

よくウナギと梅干しの食べ合わせは良くないといいますが、根拠はないと思われます。

ウナギも梅干しも、どちらもご飯のすすむ食べ物ですよね。よって、ご飯を食べ過ぎるという贅沢をさせないため、または梅干しで食欲が増して高価なウナギを食べ過ぎてしまわないようにという贅沢への戒めのようです。

実際は、梅干しの酸味はウナギの脂などの消化を助けてくれたり、脂っぽいものを食べたあとの口の中をさっぱりさせてくれたりと、逆に食べ合わせが良いといえます。

ただし、酸味や脂は胃に負担をかけることがあるので、胃腸が弱っているときにはこの組み合わせは控えたほうがよいでしょう。

まとめ

ウナギは栄養満点なうえ、体に有効な働きをする脂も豊富に含まれており、まさに夏バテ予防におすすめの食材。

ただ、昔からウナギは梅干しとの食べ合わせが悪いとされています。しかし実際のところは、梅干の酸は胃酸の分泌を促してウナギの脂の消化を助ける働きがあり、一緒に食べることは逆に好ましいことだといえます。よって、この言い伝えは単なる迷信でしょう。

ただし、胃腸が弱っているときには注意を。梅干しの酸味やウナギの脂は胃腸に負担をかけかねないので、調子が良くないときにはこの組み合わせは控えましょう。


管理栄養士
長 有里子

sazukaru代表。管理栄養士。 39歳で体外受精を経験し、40歳で第一子を出産。自身の経験から、不妊治療をされている方に向けた「授かるごはん」講座を主宰する。 人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴をもち、現在は雑誌やサイトの栄養監修なども手掛ける。

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