クスパの先生方は、梅の手仕事をされる方が多いのではないでしょうか?

梅干しや梅酒、梅シロップなど梅しごとはいろいろとありますが、今回は王道の梅干しについて、健康作用をみていきましょう。

梅干しと調味梅干しの違

梅干しには昔ながらの「梅干し」と「調味梅干し」があるのをご存知ですか? 

梅干しは平安時代から食べられている日本の伝統食ですが、塩分が高いことから、戦後になって塩分を抑えた調味梅干しができました。

調味梅干しは、梅干しを水に浸けて塩抜きし、はちみつなどで味つけをしたものです。

<100g中の塩分量>
・梅干し…18.2g
・調味梅干し…7.6g

このように、調味梅干しは梅干しの1/2以下の塩分量となっています。

ただ、梅干しは塩分が高い一方で、梅本来の味や香りがあり、保存性もあります。一方、調味梅干しは塩分が低くさまざまな味つけができるという特徴がありますが、梅の味や香りは減っており、保存性はあまりないといった違いがあります。

酸っぱさの効果

梅干しの健康作用は、その酸っぱさのもとであるクエン酸がポイントになります。

クエン酸には、疲労回復作用や殺菌作用(食中毒予防)、またキレート作用などがあります。

キレート作用とは、ミネラルの吸収を高める作用です。

カルシウムなどのミネラルは水に溶けにくく体内への吸収率が低いのですが、クエン酸と一緒にとると水に溶けやすくなり、腸壁からの吸収率がアップします。この作用をキレート作用といい、とくにカルシウムが不足しがちな日本人には嬉しい働きとなります。

カルシウム摂取に、イワシの梅煮!

イワシの定番料理のひとつに、イワシの梅煮がありますよね。実はこの料理、まさにカルシウム補給として理にかなっているのです。

イワシと梅干を組み合わせるメリットとしては、梅干しの酸味が魚の臭みを抑えてくれたり、暑さをやわらげるさっぱり感をあたえてくれたりするなどがあります。
でもそれだけではありません。

梅干しに含まれるクエン酸は、そのキレート作用でイワシの骨からカルシウムを溶かし出し、カルシウム吸収を高めるという作用があるのです。

また、クエン酸の作用とは関係がありませんが、栄養学的には、カルシウムは夜にとると吸収が高まるとされています。

よって、夕食にイワシの梅煮を食べると、よりカルシウムが吸収されやすくなるといえるでしょう。

まとめ

梅干しに含まれるクエン酸は、カルシウムなどのミネラルの吸収を高める作用をもつことが特徴です。
たとえば、今が旬のイワシと梅干しを使った料理にイワシの梅煮がありますが、これは味の相性だけでなく、栄養面でもおすすめの組み合わせ。
なぜなら、梅干しのクエン酸によってイワシの骨からカルシウムが溶け出しやすくなり、カルシウムの吸収が高まるからです。

日本人はカルシウムの摂取が不足しているので、梅干しを上手に使っておいしくカルシウムもとれるとよいですね。

・ 栄養成分バイブル(中村丁次/主婦と生活社)

日本食品標準成分表2020年版(八訂)

参考

管理栄養士
長 有里子

sazukaru代表。管理栄養士。 39歳で体外受精を経験し、40歳で第一子を出産。自身の経験から、不妊治療をされている方に向けた「授かるごはん」講座を主宰する。 人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴をもち、現在は雑誌やサイトの栄養監修なども手掛ける。

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