春は、寒さを越した植物が芽吹く季節です。
山菜や菜の花、筍やアスパラガスなどは、暖かくなると一気に芽を吹く“芽吹き野菜”。
つまり、これらは春野菜の代表になります。

疲れたら、アスパラガスを食べよう!

山菜や菜の花などの春野菜は苦みがあるので、苦手意識を持っている方も多いでしょう。
その点、みずみずしくてクセがないアスパラガスは、食べやすい春野菜のひとつです。
さらに、この時期に嬉しい栄養成分を持っているのもポイント。

それは、アスパラギン酸という成分です。

「ん?アスパラギン酸って、アスパラと名前が似てる」と思った方、その通り!


アスパラギン酸はアスパラガスから発見されたアミノ酸になります。

このアスパラギン酸には疲労回復作用があり、スタミナ強化をうたった栄養ドリンクにも使用されているほど!


そしてアスパラガスには、このアスパラギン酸が豊富に含まれているのです。

新生活が始まって“毎日クタクタ…”という方は、献立にアスパラガスを取り入れてみましょう。疲労回復やスタミナ強化が期待できます。

穂先と根元、どっちを食べたほうがよい?

アスパラガスをいただくとき、そのまま1本で調理するより、2-3等分にして調理をするほうが多いと思います。
実はやわらかい穂先とシャキシャキ感のある根元では、量が違う成分があります。

根元より穂先に多い成分が、アンチエイジング成分のルチンという成分。

昔から「人は血管とともに老いる」といわれます。
ルチンは毛細血管を強くする作用があるので、老化の食い止めに役立つ成分になります。
またこのルチンはビタミンCの吸収を助け、酸化しにくい体づくりにも関わるので、毛細血管強化とダブルでアンチエイジングに力を発揮します。

アンチエイジングはもとより、疲労の蓄積は老化にもつながりますので、ご家族で疲れている人がいたら、その人には、より穂先を食べさせてあげるとよいでしょう。

栄養を損しないアスパラガスの食べ方

アスパラガスは使い勝手が良いので、煮たり炒めたり揚げたりと、色々な調理法でおいしくいただけます。

ただ、アスパラガスにはルチンをはじめ、ビタミンB群などの水に溶けやすい成分が多く含まれます。
よって、アスパラガスを茹でてしまうと、茹で汁にルチンなどの水溶性の成分が流れ出やすくなり、もったいないことに。

<茹でたときのビタミンB群の流出率>
・ビタミンB6…36%減
・ビタミンB2、葉酸…約10%減

そこでおすすめは、茹でるよりも「蒸す」や「レンジ」で加熱すること。

蒸すよりも手軽なのがレンジ加熱でしょう。
レンジで加熱する場合の目安は、2本(約40g)につき、電子レンジ(600W)で約30秒。

また、アスパラガスにはベータカロテンなど油と組み合わせると吸収率が高まる栄養素も多いので、たとえばレンジ加熱をしたアスパラガスにマヨネーズをつけて食べるというだけでも栄養的には立派な副菜になりますよ。

まとめ

アスパラガスに多いアスパラギン酸という疲労回復成分は、栄養ドリンクにも使われているほど効果の高い成分。
またアンチエイジング成分であるルチンは、根元より穂先に多く含まれています。


召し上がる際は、茹でるよりもレンジ加熱や蒸し加熱をしたほうが、ルチンなどの栄養素を無駄なくとれますよ。

・日本食品標準成分表2015年版(七訂)

参考


管理栄養士
長 有里子

sazukaru代表。管理栄養士。 39歳で体外受精を経験し、40歳で第一子を出産。自身の経験から、不妊治療をされている方に向けた「授かるごはん」講座を主宰する。 人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴をもち、現在は雑誌やサイトの栄養監修なども手掛ける。

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