現在、食物アレルギーをもつ人の正確な人数は把握できていませんが、全人口の1-2%(乳児に限定すると約10%)が何らかの食物アレルギーを持っているものと考えられています。

日本人の食物アレルギーの3大原因は長らく「鶏卵」「牛乳」「小麦」でしたが、最新の調査ではこれに変化が起きました。
詳しく見てみましょう。

最新!食物アレルギーの3大原因

これまで、日本人の食物アレルギーの3大原因は長く、1位 鶏卵、2位 牛乳、3位 小麦でしたが、最新の調査では、初めて木の実類が小麦を抜きました。

1位;鶏卵(33.4%)
2位;牛乳(18.6%)
3位;木の実類(13.5%)
ちなみに小麦は8.8%で4位になりました。

木の実類にはクルミやカシューナッツ、アーモンドなどがあります。そして木の実類の中ではクルミアレルギーが半分以上で最も多いという結果でした。クルミアレルギーの件数は2017年調査の約2倍、2011年調査の10倍以上に増加しています。

食物アレルギーとは

では、そもそも食物アレルギーとは何でしょうか?

私たちの体には有害な細菌やウイルスを異物として認識し、攻撃する免疫機能があります。つまり、「自分」と「自分でないもの」を識別して、からだを守るしくみが免疫です。
しかし、本来は体に害を与えない食べ物を異物と勘違いしてしまい、免疫が働いてしまう現象が食物アレルギーになります。

そのため現在は、アレルギーの原因となる中でも発症数、症状が重篤になる卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生の7品目を特定原材料として、食品に使用した場合には、パッケージに表示をしなければいけない義務があります。
また、特定原材料に準ずるものとして、アーモンドやあわび、いか、大豆などの21品目を食品に使用した場合には、食品のパッケージへの表示が奨励されています。

食品のパッケージに、「原材料の一部に○○を含む」、「○○由来」などと記載されているのも、そのためです。

木の実アレルギー増加の理由は?

木の実アレルギーが増えた原因についてはまだわかっていません。

ただ近年の健康志向から、とくにクルミを食べる量は35年前に比べて8倍も増えています。国はクルミについて食品への表示を義務付ける特定原材料に格上げすることを検討しています。

クルミを食べて何らかの症状が出たことがあるという方は、医療機関で検査を受けてみることをおすすめします。
また、製菓・製パンのクスパの先生方は、木の実(ナッツ類)を使用する場合は、生徒さんにアレルギーがないかどうかをこれまで以上に意識する必要があるかもしれませんね。

まとめ

私たちの体には「自分」と「自分でないもの」を識別して、からだを守るしくみがあります。これが免疫です。
この免疫が、本来は体に害を与えない食べ物を異物と勘違いしてしまい攻撃を与えてしまうのが、食物アレルギーです。

ただし、残念ながらビタミンCと食物繊維は含まれていません。
よって組み合わせる食材を工夫して、ビタミンCと食物繊維もとれれば、より栄養価はアップします。

長らく食物アレルギーの3大原因は鶏卵、牛乳、小麦でしたが、最新の調査では、初めて木の実類が小麦を抜きました。とくに木の実類の中でもクルミが半数以上を占めています。
この原因はわかっていませんが、食品を扱うクスパの先生方は、アレルギーについても知識をアップデートしておきましょう。

 

・食品のアレルギー表示について(厚生労働省)

・朝日新聞(2022年5月1日)

参考


 

管理栄養士
長 有里子

sazukaru代表。管理栄養士。 39歳で体外受精を経験し、40歳で第一子を出産。自身の経験から、不妊治療をされている方に向けた「授かるごはん」講座を主宰する。 人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴をもち、現在は雑誌やサイトの栄養監修なども手掛ける。

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