来月から新生活が始まる方が多いことでしょう。とくにクスパの先生方にとっては、新生活を機に料理を始めてみたいという生徒さんが多くなる時期かと思います。

今回は料理の基本をおさらいしてみましょう。

ほうれん草のあく抜きの必要性

“緑黄色野菜の王様”とも呼ばれるほど高い栄養を含むのが、ほうれん草。普段の料理にも使いやすいですよね。 ただ、ほうれん草を食べるときには、「あく抜きが必要」とか「生食は避けたほうがよい」などといわれています。

これはなぜでしょうか? 理由は、ほうれん草はほかの野菜よりもシュウ酸(アク)を多く含んでいるからです。 シュウ酸は腸内で不溶性のシュウ酸カルシウムになり、カルシウムの吸収を低下させたり結石の原因となったりすることがあるため、沸騰した湯で茹でてあく抜き(シュウ酸抜き)をする必要があるのです。

一方、ほうれん草と似た野菜である小松菜は、スムージーの材料にしたりと生食をすることがありますよね。 小松菜にはシュウ酸が少ないので、下茹でせずに調理に使うことができます。

塩を入れて茹でるのはなぜ?

「ほうれん草はたっぷりの湯に塩を入れて茹で…」というレシピの作り方を目にしたことはありませんか?

ほうれん草の場合はたっぷりの湯で茹でることであく抜きができるのですが、ほうれん草をはじめ、葉物野菜を茹でるときには湯に塩を入れるのが一般的です。

これは、塩により緑の色がきれいに保たれるからです。 葉に含まれる緑色のクロロフィルという色素成分は熱に弱いのですが、湯に塩を加えることで色素が安定し、発色良く茹で上げることができます。

夏採りと冬採りのビタミンCの違い

旬の食べ物はおいしく、栄養価が高いというのはよくいわれることです。 実際、季節によって栄養価の変動が大きい食材のひとつが、ほうれん草です。

ほうれん草の旬は冬です。 ビタミンCで比べると、冬のほうれん草は60㎎に対して、夏に採れたほうれん草は20㎎。なんと3倍も差があるのです(100g中)。

ちなみに、ほうれん草のビタミンCの通年平均値は35㎎になります。

まとめ

ほうれん草は普段の食生活に使いやすい食材です。ただ、「あく抜きが必要」とよくいわれます。

これはなぜかというと、ほうれん草はほかの野菜よりも多くのシュウ酸(アク)を含んでいるからです。 シュウ酸は体内でカルシウムの吸収を阻害したり結石の原因となったりすることがあるため、一度茹でてシュウ酸を抜く必要があるのです。

また、塩茹でをするのは、塩によってほうれん草の緑色の色素であるクロロフィルが保たれ、色鮮やかに仕上がるからです。 料理は基本をおさえて、おいしく食生活を楽しめるといいですね。

・サラダ用ほうれん草と従来のほうれん草におけるシュウ酸およびミネラル類含量の比較 (駒沢女子短期大学 研究紀要 寺田和子・下橋淳子 著 )

・日本人の食事摂取基準(2020年版)

参考

管理栄養士
長 有里子

sazukaru代表。管理栄養士。 39歳で体外受精を経験し、40歳で第一子を出産。自身の経験から、不妊治療をされている方に向けた「授かるごはん」講座を主宰する。 人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴をもち、現在は雑誌やサイトの栄養監修なども手掛ける。

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