この時期、使い勝手の良い食材にナスがありますね。ただ、「ナスには栄養がない」といわれることがしばしば…。
ところが近年、そんなイメージをくつがえす発見がありました。そのほかの栄養も合わせ、ナスについてみてみましょう。

なすを食べて血圧低下?

”秋ナスは嫁に食わすな”という言葉があります。これは、憎らしい嫁においしいナスを食べさせるのはもったいないという意味や、秋ナスは体を冷やすので大切な嫁に食べさせるなという二通りの解釈があるようです

ところで、ナスは食感やおいしさ、調理法の豊富さなどで人気の高い食材ですが、「ナスには栄養がなさそう」という声を耳にすることも。

実際、ビタミンやミネラルといった栄養素はそれほど多いとはいえないでしょう。 ただ近年、ナスにはコリンエステルという成分が大量に含まれていることがわかりました。コリンエステルは自律神経に働きかけ、血管を拡げて血圧を下げたり、リラックスをもたらすなどの作用があります。 このコリンエステルは、ナスには他の作物の3,000倍含まれているとされています。

なすの紫色パワーとは

ナスのあの深い紫色、これは色素成分のナスニンによるものです。
ナスニンには強い抗酸化作用があり、コレステロールの酸化を防いで細胞の老化を抑える作用があります。

調理法によっては、味の含みをよくするために皮をむくことがありますが、ナスニンは皮の部分に含まれるので、できれば皮もしっかり食べたいものですね。

■ナスのあく抜きのコツ

ナスは切って置いておくと変色したり味にえぐみが出たりします。そこで行うのがあく抜きです。
水につけたり、塩をふったりとあく抜きの方法はいくつかあります。

ただ、アクの成分であるクロロゲン酸は抗酸化作用のあるポリフェノールの一種です。
つまりアクも体に良い面があるということです。また、コリンエステルも水に溶けやすい成分です。
そのため、長時間水にさらすと成分が流れ出やすくなってしまいます。あく抜きをする際は、短時間でサッとがよいでしょう。

まとめ

一見栄養がなさそうに思えるナスですが、近年、血圧を下げる作用のあるコリンエステルという成分がナスには大量に含まれていることがわかりました。

また、ナスの紫色には強い抗酸化作用があることがわかっています。

ナスはおいしいだけでなく、調理法の豊富さで料理がしやすいというメリットがあるでしょう。今後は味や使い勝手だけでなく、しっかり栄養もとれる食材なんだと思いながらいただくと、より一層おいしく感じるかもしれませんね。

・なすの食品機能と機能性表示食品(農畜産業振興機構)

・旬の野菜の栄養事典(女子栄養大学名誉教授 吉田企世子監修/X-Knowledge)

参考


管理栄養士
長 有里子

sazukaru代表。管理栄養士。 39歳で体外受精を経験し、40歳で第一子を出産。自身の経験から、不妊治療をされている方に向けた「授かるごはん」講座を主宰する。 人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴をもち、現在は雑誌やサイトの栄養監修なども手掛ける。

授かるレシピへ